2025年10月18日
症例128 夜尿症でお困りの中学生
症例
こんにちは、院長の小畑です。
今回は夜尿がある中学生の患者様の症例です。
目次
患者様について
S様、13歳、中学生
週に3~5回とかなりの高頻度で夜尿が出ている状態でした。
また、その他にも時々チック様の症状があるような状態でした。
夜尿症とは
寝ている間は「尿を減らすホルモン」によって、尿量が減ります。この尿を減らすホルモンの分泌が減ると尿量が増え夜尿につながるとされています。
また、膀胱は尿を貯める部分ですが、夜尿のある方はこの「貯める」ということが上手くできません。膀胱は広がったり縮んだりするものですが、広がる為の神経がうまく働かないと尿を上手く貯めることが出来ず、寝ている間に排尿してしまいます。特に子どもの夜尿は排尿関連の神経が未発達で起きることが多いです。
チックとは
無意識に出てしまう動作や音声のことを指します。
簡単に言うと、体が勝手に動いたり、声が出たりする症状です。
まばたき、顔をしかめる、肩をすくめる、頭を振るなどの「運動チック」や、咳払い、鼻を鳴らす、声を出す、言葉を発するなどの「音声チック」があります。
基本的に運動(声を発するのも含む)は、意識→脳→筋肉 という流れで運動は起きます。しかしチックはこの意識の部分が無く、脳が勝手に筋肉に指示を出すことでチックのような無意識な運動につながります。
西洋医学的に原因ははっきりしていないそうですが、遺伝やストレスが関連しているという説が有力です。東洋医学的には割と原因がはっきりしているのですが・・・それは下記にて説明いたします。
どのような状態?
子どもの夜尿は主に、発育関連の遅れやストレスが関係していたりします。
チックも同様に発育関連の遅れやストレス、生活習慣などが関係しています。
S様を東洋医学の目線も含めて診察していくと、先天的に発育に必要な栄養の不足が起きやすい体質であるとわかりました。
この発育に必要な栄養を東洋医学では「腎精(じんせい)」といいます。主に生命力のようなものと捉えて頂いても結構です。
この腎精というものは親から受け継いだ先天の精(遺伝子情報)と後天の精(食べ物から作られる生命力)があります。治療ではこの後天の精が多く作られるように働きかけることができます。
この腎精の不足は様々な不調を呼ぶもとになるのですが、夜尿症であれば、膀胱と排尿に関係する神経の発育の遅れ・機能の低下を発症するもとになります。
チックの場合は説明が難しいのですが、チックは東洋医学では「内風」と言われるものに該当します。内風は体が勝手に動く・震える・ひきつるといった症状が起きる状態のことを指します。
内風は、過度のストレス、過度に偏った栄養、腎精の不足(身体を正常に動かす栄養)などで発生するとされています。
S様の場合、夜尿にしてもチックにしても「腎精の不足」を改善しないと症状が軽減しないということになります。
治療は?
早く改善を進める為には基本的に1週間に2回の頻度を3週間ぐらい治療した後に、1週間に1回の頻度で2ヶ月程していくと一番早く良くなる近道になるのですが、
予定の都合などから治療間隔は1週間に1度の治療を約3ヶ月続けることで症状が改善されるように働きかけていくことになりました。
最初の1ヶ月で・・・週3~5回の夜尿発生頻度が→8~9日で2回という頻度に少し下がりました。
2ヶ月目は、テストなど環境ストレスが多く頻度は下がらず現状維持でした。
3ヶ月目は、1週間の内に一度も夜尿が発症しないという週が出てきました。
ある程度の改善がみられたのでこれ以降は治療間隔を広げていきます。
4ヶ月目、夜尿は16日中2回で少しずつ頻度が減少してきています。治療頻度は約2週間に1回。
5ヶ月目、現状維持。治療頻度は安定するまで3週間に1回で行う。
6ヶ月目、夜尿は3週間で3回。
7ヶ月目、夜尿は3週間に3回。
8ヶ月目、3週間に2回。
9か月目、3週間に1回。
10か月目、ついに3週間に0回。
以降3週間に0回がしばらく続いております。
現在も1ヶ月に1回の頻度で治療中ですが、ほとんど夜尿が止まった状態をキープできています。
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